こんにちは、ブロッコ侍(@bloc_samurai)です。
以前インスリンについて、以下のような記事を書きました。

要約すると
・筋肉量を増やしてインスリンヒエラルキーの土台を大きくしよう
・暴飲暴食により、筋肉でのインスリンの働きが悪くなる(インスリン感受性の低下=インスリン抵抗性)
・運動によりインスリン感受性を高めよう
・インスリン感受性を高めるサプリメントを活用しよう
こんなかんじです。
食生活の乱れや、運動不足によりインスリンの働きが悪くなるということはわかってもらえたかと思います。
実際にTwitter上などでも、「インスリン感受性」というワードを目にする機会も増えた気もします。
で、今日の本題は「インスリン感受性ってどのように高まるの?」ってこと。
理解すればそんなに難しくないので、解説していきます。
目次
1,細胞でのグルコース(血糖)の取り込み
前回の記事を読んでいただいたら
血糖値の上昇
↓
インスリンの分泌
↓
筋肉や脂肪・肝臓への取り込み
この流れがわかると思いますが、より細部ではどうなっているのでしょうか?
人間の細胞膜はリン脂質の二重膜構造となっていて、水溶性の物質は通過できないようになっています。
グルコースというのは水溶性で、血液に溶けた状態で体内を巡っていますよね。
そのままではリン脂質を通過できずに、グルコースが血液中を彷徨うことになってしまうので、グルコースの渡り船が必要です。
この役割を担うのが、GLUT-4というグルコーストランスポーターです。
通常、細胞内部にあるGLUT-4がインスリンなどを感知して細胞膜表面へと移動してグルコースの取り込みを行います。

これは筋肉でのグルコースの取り込みのイメージです。
このようにGLUT-4という渡り船がなければグルコースの取り込みは行われず、GLU-4がインスリン感受性の鍵を握ってそうな気がしてきましたね。
2.GLUT-4の移行について
上述のGLUT-4が細胞内から、細胞膜へ多く・早く移行すればインスリン感受性が高くなります。
ではなぜ、GLUT-4は常に細胞膜上に存在せずにこんなにややこしいシステムになっているのでしょうか?
常にGLUT-4が細胞膜上にあると、血糖を取り込みすぎて低血糖に陥ってしまします。
ですので必要な時にだけ、細胞膜上に移動するようになっているのです。
では、その必要な時とは?
①食事により血糖値が上がった時
血液中にグルコースが多く存在する時、これを処理する必要性が出てきますので、GLUT-4が細胞膜上に移動します。
②運動を行なった時
運動を行うと、筋グリコーゲンを回復する必要がありますのでGLUT-4は細胞膜上へ移動し血糖の取り込みを活性化させます。
これが前回の記事で解説した、運動によりインスリン感受性が向上する理由です。
運動によりGLUT-4の移動が活発になる場所は?〜カーボディプリートからカーボローディングを上手く進める流れとは?
運動により、GLUT-4の移動が起こることはわかったかと思いますが、これは全身で起こるものなのでしょうか?
実は、運動を行なった部位で特にこの移動が行われると言われています。
片脚だけで自転車運動を行い、筋グリコーゲン量の変化を調べた実験では運動した脚のみでグリコーゲンの超回復が起こっています。
コンテストの調整にカーボディプリートからのカーボローディングをする人や、アスリートで試合前にカーボローディングを行う人も多いと思います。
中でも、ボディビルダーはディプリートの際にエアロバイクやトレッドミル運動、食事運動のみで行う人が多いように思います。
これでは、全身での筋グリコーゲンの超回復は起きづらいためディプリートの際にはバーピーなどの全身運動をTabataでやるなどするとよりいいかもしれません。

GLUT-4の量はトレーニングにより増える?
GLUT-4の総量が増えれば、インスリン感受性の向上に繋がるのでは?と思った方も多いはず。
実はGLUT-4はトレーニングにより増えることが明らかになっています。
しかし、ウエイトトレーニングのような無酸素系でのトレーニングではなく、比較的長時間の持久的運動でないと増えづらいようです。
元アスリートが引退後でもスリムな方が多いのは、その筋肉量だけでなくGLUT-4の量自体も関係してそうですね。
ちなみにTabataのようなHIITでもGLUT-4は増えると言われています。
HIITは本当に優秀ですね。トレーニングに組み込まない理由が見当たりません。
α-リポ酸がGLUT-4の細胞膜移行を進める
以前の記事でもインスリン感受性を高めるサプリとして紹介したα-リポ酸ですが、このような仕組みでインスリン感受性を高めていたわけです。

では本日は以上。
授業みたいな内容になりましたが、何かを実践する時にその仕組みを知っておくことは本当に大切。
行動の妥当性を頭で理解していると、同じことをしても結果が変わると思っています。
皆さんの理解の手助けになれば幸いで候。